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東日本大震災特別寄稿 「大震災・技術者的思考」

JMC (2011年4月27日)

阪神淡路大震災も悲惨であった。自宅の奈良から大阪市内へ通勤している私は直接的な被害は受けていない。しかし各地でビルの倒壊や家屋の火災、阪神高速が倒れ山陽新幹線の橋脚崩落など、平和な生活を送っていた我々には想像もできない大惨事であった。

16年経ち、いま神戸の町並みは高速道路や高層ビルなどが立ち並び、見た目には当時の惨状の面影は見当たらないほど見事に復興している。

 

東日本大震災から50日が経った。

大地震がもたらした複合的大災害により東北・関東北部の太平洋沿岸部では爪あと深く、お見舞いの言葉さえ軽々しく表現出来ないほどの惨状である。

 

これからの日本はどうなるのか。機械設計に従事している我々にとっても大きなテーマを突きつけられたのではないか。

連日報道されている福島原発問題がその第一である。

しかし表立って報道はされていないが今回の大震災で数多くの企業や幾多の生産工場も被災した。操業停止どころか復旧の目処さえ立っていない状況である。中には解体を余儀なくされる工場もたくさんあると想像できる。

考えてみると我々が携わる機械は大きな揺れと、津波による海水にはいたってもろいものである。

地震よる地盤の液状化は水平荷重算出の基となる地震係数の数値にも疑問を持つものとした。

ミクロ単位の精密さを要求される半導体や精密部品の工場設備はもちろん、大型のコンベヤクレーンやタンク、サイロに至るまで倒壊などの大きなダメージを受け修復や復旧に相当な時間が必要であろう。

津波による海水を被った工場設備や機械部品は論外で、設備そのものが使い物にならないと考えられる。設備基準には海岸沿いのごく一部の大型機械を除いて海水を被っても支障が無い設備などは設計に組み込んでいない。

 

地震発生以来何かにつけ"想定外"であったとのコメントが目立つ。確かに1000年に一度などと言われる災害を想定してガードを固めていくことは困難である。しかし機械設計技術者である我々は、今回の教訓を生かしていかねばならない。

震災発生と同時に食料がない、水が無い、電気も無くなった。被災地のニュースを見て人が生きていく為の最低限の生活インフラが本当に大切なものだと思った。

テレビやパソコンそして車の生産設備も日本が誇る基幹産業として重要だと認識している。

しかし今回の福島原発問題により土壌汚染が深刻になっているように、その地域でこれから何年経てば安全と言える農作物が採れるのかまったく予想できない。そう考えるとこれからはクリーンな環境で収穫が可能な農作物などの野菜工場設備も機械設計の主分野となって行くのではないだろうか。

命を繋ぐ飲料水もペットボトルの確保ではなく、汚水や河川のにごり水でも瞬時に飲料水として飲めるコンパクトな濾過器などの開発も必要であろう。

また電気については原発に対する絶対的な安全基準がないことが分かった訳で、原発がトラブルに見舞われればこれだけ負の影響を与えることを目の当たりにした。まさに放射能の恐怖と背中合わせである。残念ながら今の電力事情から原子力に頼らない電力確保は考えられない。太陽光やバイオマスによる発電を中心に発電量を確保するには数十年掛かるであろう。それとご存知のように東と西の周波数の違いも解決していかねばならない問題点である。

本当に課題は山積しているが、現在の機械や設備に我々機械設計技術者が何らかの形で携わっていたわけだから、今回起こっている問題点を様々な角度から捉え、将来に向けた知恵を出していかねばと思う。

私自身も機械設計を通じて被災地の復興に協力できる機会は有ると思っている。表現が難しいが今までとは違う視点で機械設備に向き合っていきたいと考えている。

テーマが大きく、取り留めの無いものになってしまったことをご容赦願いたい。

 

最後に被災地の方々には心からお見舞いを申し上げます。


JMC代表世話人

近鉄エンジニアリング㈱

取締役 武内 弘光

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